レガシーシステムとオープンシステム7つの違い(ソフトウェア編)

レガシーシステム(遺産のシステム、オフコンや汎用機を使用するシステム)とオープンシステムとの異なる点をおさえておかなければ、オープンシステムへの移行はスムーズに進みません。レガシーシステムとオープンシステムの違いをソフトウェアの面から簡単にご説明します。(2024年03月27日更新)
オープンシステムの構造に関しては、こちらをご覧ください。
レガシーシステムとオープンシステムの違いを下記の点について、ご説明します。
⇒画面の動作
⇒アプリケーション
⇒コード
⇒画面作成
⇒帳票作成
⇒ファイル(データベース)作成
⇒制御言語
画面の動作
画面上でのカーソルの動作・アテンションのキーについて、説明します。
オフコン
ひとつの画面のいくつかの画面の項目をグループ化し、そのグループ単位にデータの送受信を行います。オペレーションは、ひとつのグループ内の項目移動は、タブキーで行い、グループ間の移動は、ENTERキーで行います。ファンクションキーの使用も可能です。
また、画面項目の一つ毎に、データの送受信を行うことが可能なメーカーもあります。(画面項目の移動はENTERキー)
メインフレーム(汎用機)
ひとつの画面毎にデータの送受信を行います。オペレーションは、ひとつの画面内の項目の移動は、タブキーで行い、画面間の移動は、ENTERキーで行います。ファンクションキーの使用も可能です。
原則として、一画面の単位で、コンピュータとやり取りをします。
オープン系
クラサバアプリケーションの場合は、一般的には画面の項目毎にデータの送受信を行います。オペレーションは、項目移動はENTERキーで行います。ファンクションキーの使用も可能です。
クラサバアプリケーション:クライアント - サーバーシステムで使用するアプリケーションのこと
WEBアプリケーションの場合は、アプリケーションの組み方に依存します。
WEBアプリケーション:WEBブラウザ経由で使用するアプリケーション
アプリケーション
コンピュータ上でのアプリケーションの動きと特異な点を説明します。
アプリケーション動作
オフコン
端末(オフコンに接続されたダム端やパソコン)毎に、最大2ジョブ動作し、バックグラウンド(画面に表示されない場所)で、1ジョブ動作できます。
ジョブ:処理のまとまり
メーカーにより動作するジョブ数は、異なります。
メインフレーム(汎用機)
原則、1つの仮想空間でひとつのジョブが動作します。理論上は、システムの仮想空間は無限(実際には、255個など、有限になります)です。
オープン系
一台のパソコンの実メモリ上で、複数のアプリケーションが動作します。
アプリケーションの特異点
メインフレーム(汎用機)
入力系のアプリケーションは、同時に複数の端末をコントロールするため、一台ずつの情報をデータの送受信毎に、特定のエリアに退避する必要があります。特定のエリアに退避しない場合、データが保証されません。プログラミングする場合は、注意が必要となります。
オープン系
WEBアプリケーションの場合は、複数の相手を同時に処理するため、クッキーなどを使用して、接続相手を認識する必要があります。また、印刷は帳票データを作成、これをPDF化しダウンロードすることになります。
クッキー:使用者の識別情報などのことで、使用しているWEBブラウザのパソコンに保存される
コード
オフコン、メインフレーム(汎用機)
EBCDICコードを使用します。漢字は、F(メーカー)の場合、JEF漢字コードになります。
オープン系
Windows(NT系) は、原則としてUnicode UTF-16 になります。
画面作成
画面を作成する方法について、説明します。
オフコン
メーカー指定のミドルウェアを使用して、画面をデザインし作成することが可能です。
メインフレーム(汎用機)
メーカー指定のミドルウェアを使用して、画面をデザインし作成することが可能です。
オープン系
クラサバアプリケーションの場合は、アプリケーション開発のための統合開発環境を使用して、画面をデザインし作成します。
WEBアプリケーションの場合は、HTMLあるいは、統合開発環境を使用して、画面を作成します。
帳票作成
帳票を作成する方法について、説明します。
オフコン
メーカー指定のミドルウェアを使用して、画面と同様に作成することが可能です。または、一行毎にデータ定義して出力することもできます。
メインフレーム(汎用機)
メーカー指定のミドルウェアを使用して、画面と同様に作成することが可能です。または、一行毎にデータ定義して出力することもできます。
オープン系
クラサバアプリケーションの場合は、レポーティングのミドルウェアを使用して、作成します。(レガシーシステムと同様)または、項目の印字位置を指定して印刷することもできます。。
WEBアプリケーションの場合は、帳票データを作成後、これをPDF化し、ダウンロードすることになります。
ファイル(データベース)作成
ファイル(データベース)の作成について説明します。
オフコン
ミドルウェア(RDB:リレーショナル型DBなど)を使用して、作成することが可能です。画面での対話で項目名、タイプなどを定義します。
メインフレーム(汎用機)
ミドルウェア(RDB:リレーショナル型DBなど)を使用して、作成することが可能です。画面での対話で項目名、タイプなどを定義します。
オープン系
データベースソフトウェア(SQL Server など)を使用して、作成します(レガシーシステムと同様)。画面対話型で項目名、タイプなどを入力します。
制御言語
アプリケーションの他に、アプリケーションを使用するために必要な言語について説明します。
オフコン
アプリケーションを起動、制御する制御言語があります。この制御言語は、コンパイルする必要があります。(CLなどと呼ばれます)
コンパイル:機械語に翻訳すること
メインフレーム(汎用機)
ジョブとして実行するためには、ジョブ制御言語を実行します。アプリケーションを起動するは、アプリケーションを起動する命令をジョブ制御言語内に記述します。コンパイルする必要はありません。(JCLなどと呼ばれます)
オープン系
制御言語はありません。アプリケーションを連続して起動する場合は、バッチファイルを使用するか、アプリケーションを作成して制御します。
まとめ
レガシーシステムとオープンシステムの違いを簡単に、ご説明しました。レガシーシステムとオープンシステムでは、異なる点が多々あります。しかし、あらかじめこれらの点を把握しておけば、マイグレーション(移行)は成功に近付くことでしょう。
参考
※オープン系 は、Windows を前提として記述しています。
※オフコン、メインフレーム(汎用機)につきましては、F(メーカー)に偏った記述があるかもしれません。
※Windows は米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標です。
※SQL Server は米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標です。