企業活動に不可欠な基幹システムの4つの機能とは何か(販売管理編)

オフコンや汎用機からオープンシステムへ移行(マイグレーション)する場合や、システムの見直しをする場合に、基幹システムの機能をもう一度確認しておくことは、有用なことです。

コンピュータシステムの基盤である基幹情報システム(ERPシステム)とは、なにか、ここでは、基幹情報システム(ERPシステム)の主とした機能のひとつである販売管理について、4つの機能をご説明します。(20240328日更新)

基幹情報システム(ERPシステム)の根幹のひとつである販売管理の機能は、大きく4つに分けることができます。

⇒売上管理

⇒仕入管理

⇒在庫管理

⇒商品管理

 
 

売上管理

基幹情報システム(ERPシステム)では、得意先への売上の把握と請求書の作成と入金までが第一優先の機能となります。

 

受注管理

得意先から注文を受けた場合に、受注の管理を行います。売上は、この段階では未確定になります。

管理データ:受注日・得意先・商品・数量・単価・金額 など

受注の管理は、使用しない場合もあります。

 

売上の確定

得意先からの売上の確定は、最終的には、売上計上で行います。

管理データ:売上日・得意先・商品・数量・単価・金額 など

売上の確定前に、前段階として受注管理などの前処理を行う場合もあります。

管理データ:受注日・得意先・商品・数量・単価・金額 など

また、販売する商品が加工・製造などの工程を経る場合は、各工程での実績等のデータ管理(生産管理システム)をおこないます。

管理データ:加工日・得意先・原材料・商品(製品)・使用数量・商品(製品)数量 など

 

請求管理

得意先の締め日毎に、請求書を発行し、得意先への請求金額・残高を管理します。システムの開始時には、得意先毎に前回の残高を設定しておきます。

請求書は、シリアルプリンタに2P(2枚重ね)のプレプリント用紙(専用の印刷済の用紙)をセットして印刷していましたが、最近ではレーザープリンタを使用しA4用紙を使用することが多くなっています。

 

入金管理

得意先からの支払いをもとに、入金・未入金の管理を行います。

管理データ:入金日・得意先・金額・手数料 など

 

請求データと得意先の支払予定をもとに、入金予定の管理を行います。

管理データ:入金予定日・得意先・金額 など

 

その他

法改正に対処することも必要になります。

⇒適格請求書等保存方式(インボイス制度)の流通BMSの対応方法

⇒電子帳簿保存法におけるEDIデータの対応

 

仕入管理

仕入先からの仕入の把握と支払までが主とした機能になります。

 

発注管理

仕入先への仕入のための注文を行い、発注の管理を行います。仕入は、この段階では未確定になります。

管理データ:発注日・仕入先・商品・数量・単価・金額 など

使用しない場合もあります。

 

仕入の確定

仕入先への仕入の確定は、最終的には、仕入の計上で行います。

管理データ:仕入日・仕入先・商品・数量・単価・金額 など

また、仕入商品を加工・製造などの工程を行う場合は、各工程での実績等のデータ管理をおこないます。

管理データ:加工日・工程・仕入先・商品・数量 など

 

支払管理

仕入先からの請求をもとに、支払・未払の管理を行います。

管理データ:支払日・支払先・金額・手数料 など

 

仕入データと仕入先からの請求をもとに、支払予定の管理を行います。

管理データ:支払予定日・支払先・金額 など

 

自動発注

在庫数があらかじめ定めておいた数量を下回った場合に、コンピュータを使用して自動的に発注を行う機能を使用する場合もあります。

 

在庫管理

在庫を管理する機能としては、入荷管理・出荷管理・棚卸管理があります。(ここでは、商品の入ってくることを入荷、商品が出ていくことを出荷と言うことにします)

 

入荷管理

入荷の時点で、入荷の管理を行い、在庫を加算します。仕入先からの仕入の確定時点で、入荷とする場合もあります。

管理データ:入荷日・入荷元(仕入先)・入荷場所・商品・数量 など

 

出荷管理

出荷の時点で、出荷の管理を行い、在庫を減算します。得意先への売上の確定時点で、出荷とする場合もあります。

管理データ:出荷日・出荷場所・出荷先(得意先)・商品・数量 など

 

棚卸管理

棚卸日に、在庫を確認し棚卸の管理を行い、在庫を確定します。

管理データ:棚卸日・棚卸場所・商品・数量 など

 

商品管理

取り扱い商品ごとの売上日・売上数量・売上金額、あるいは仕入日・仕入数量・仕入金額などを管理します。また、商品毎の原価・生産日なども管理します。食品の場合は、賞味期限や消費期限も管理します。

 

基幹システムでは、各データをコードのみで入力するために、マスタを作成します。たとえば、得意先の名称などを何度も入力することは煩雑なので、得意先に独自コードを付番し、マスタ化します。

得意先マスタ 得意先コード・得意先名称・住所・・・・

仕入先マスタ 仕入先コード・仕入先名称・住所・・・・

商品マスタ  商品コード・商品名称・単価・・・・

担当者マスタ 担当者コード・担当者名称・部門・・・・

部門マスタ  部門コード・部門名称・・・・

etc・・・・

 

最後に

基幹情報システム(ERPシステム)の主機能である販売管理は、企業の商取引の記録であり商売の根幹です。ここに誤りやミスがあれば、会社の存続さえ危ぶまれてしまいます。しかし、基幹システムをうまく活用することにより、業務を改善することも可能です。

また、販売管理は、財務会計と並び、管理会計とも呼ばれます。管理会計が財務会計と大きく異なるのは、会計基準を企業が自由に決めることができることです。(財務会計と同じ基準にすることも可能です)

企業独自の管理会計は、過去や最新のデータを即座に把握できるため企業が成長をはかるためには、欠かせない機能です。

 

注:ERPは、本来、情報の一元化やリアルタイムな経営の材料を提供する計画であり、基幹システムは、ERPを実現するシステムの一部分になります。ここでは、説明を簡略化するため基幹システムと同義語として扱っています

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