適格請求書等保存方式(インボイス制度)の流通BMSの対応方法
仕入税額控除の方式である適格請求書等保存方式(インボイス制度)とは何か、流通BMSでの対応はどのようにするのか、ご説明します。(2024.03.26 更新)
適格請求書等保存方式(インボイス制度)とは
現在、複数の税率(8%、10%)が適用されていますが、適格請求書等保存方式(インボイス制度)は、新たに導入される仕入税額控除の方式です。2023年10月1日から導入されます。
買い手が、仕入税額控除を受けるためには、登録された売り手が発行する適格請求書(インボイス)などの請求書等の保存が必要になります。
また、売り手の確認を受けた(買い手が作成した)支払通知書などを保存しても適用されます。
登録
適格請求書等保存方式(インボイス制度)を適用されるためには、税務署長に申請して登録を受ける必要があります。2021年10月1日から登録申請書を提出することができます。登録されると登録番号が付与されます。
保存
売り手 は、発行した適格請求書(インボイス)等の写し・適格請求書(インボイス)の電磁的記録の保存義務があります。また買い手は、売り手から発行された適格請求書(インボイス)及び提供された適格請求書の電磁的記録を保存する必要があります。
適格請求書(インボイス)等の写しや電磁的記録は、課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年保存する必要があります。
流通BMSにおける対応
適格請求書等保存方式(インボイス制度)の流通BMSでの対応は、流通BMSの手順であるJX手順にて送受信を行う請求メッセージ・支払メッセージ・返品メッセージを使用して行います。
請求
請求書が必要な場合は、請求書の修正が必要です。請求メッセージの修正は、ありませんが、請求鑑メッセージの作成が必要になります。
請求書 |
請求書単位に売り手・買い手の(登録した)登録番号 を追加 請求書単位に複数の税率毎の合計金額 を追加 |
請求メッセージ | 変更なし |
請求鑑メッセージ |
請求書番号・取引先コード・対象期間(締め日) 請求書の税率毎の合計金額とそれぞれの消費税額 |
請求メッセージと、請求鑑メッセージは、取引ヘッダー項目(請求書番号・取引先コード・対象期間(締め日)など)で関連付けされます。
例
税抜きの金額の合計にて、税額を計算
金額(税抜) | 税額 | |
8%対象計 | 1,000 | 80 |
10%対象計 | 1,000 | 100 |
支払
支払通知書等が必要な場合は、支払通知書等の修正及び支払メッセージの修正が、必要になります。
支払通知書等 |
支払単位に売り手・買い手の(登録した)登録番号 を追加 支払単位に複数の税率毎の合計金額 を追加 |
支払メッセージ |
支払内容 9000 売り手・買い手の(登録した)登録番号を指定するために追加 支払内容(個別) 0001と0002 0001 ・・・ 「卸・メーカー」の詳細コード 0002 ・・・ 「チェーンストア(小売)」の詳細コード 支払内容(個別名称) 支払内容(個別)の名称 支払内容(個別名称カナ) 支払内容(個別)の登録番号 |
返品
返品通知書等が必要な場合は、返品通知書等の修正及び返品メッセージの修正が、必要になります。
返品通知書 |
譲渡年月1 追加 譲渡年月2 追加 |
返品メッセージ |
譲渡年月1 追加 譲渡年月2 追加 |
最後に
適格請求書等保存方式(インボイス制度)を適用するには、買い手も売り手も、適格請求書発行事業者登録番号が必要になります。税務署長に申請して登録を受けるには、一定の時間がかかるそうですので、早めに申請することが必要です。
流通BMSでの対応方法は、チェーンストア(小売)によって異なる場合があります。卸・メーカーは、チェーンストア(小売)からの連絡に注意して対処する必要があります。
追記
EDIシステムの変更を少なくするように、支払メッセージ等を使用した支払通知書等を適格請求書とするチェーンストア(小売)が多いようです
。また、支払通知書等を卸・メーカーへ郵送するチェーンストア(小売)もありますが、なかには郵送しないチェーンストア(小売)もあるようです。
卸・メーカーへ支払通知書等の郵送がない場合は、EDIシステムから支払メッセージなどを入力とした支払通知書等を出力する必要があります。
※流通BMSは、財団法人流通システム開発センターの登録商標です。