レガシーと呼ばれるメインフレーム(汎用機)とは
1980年代に全盛期を迎え、当時は日本での売上が世界の売上の30~40%を占めていた大型のコンピュータシステムのことを指します。メインフレーム(汎用機)とは、なにか簡単にご説明します。(2024年07月26日更新)
メインフレーム(汎用機)は、大中企業向けの基幹システムなどを稼働させるハードウェアとOS(オペレーティングシステム)からなるコンピュータシステムになります。メインフレーム(汎用機)は、安定性と信頼性が高いため、長く使用され現在も使用されています。
メインフレームは、規模により大型・中型・小型に分けられます。また、オフコン導入ユーザより規模の大きいユーザ向けの位置づけになります。
構成
コンピュータ1台に接続された1台のコンソール(注:)と複数のダム端(注:)とプリンタなどの周辺装置から構成されます。
注:コンソール リアルタイムにOSなどの入出力メッセージを表示し、OSへの指示コマンドを入力する、メインフレームのコンピュータシステムに原則1台のダム端末
注:ダム端 ダム端末とも呼ばれる、モニターとキーボード、ライトペンからなるメインフレームへの入出力装置、記憶装置は付随していません
コンピュータの筐体が大きく、放出する熱も多いため、専用の電算室(専用の空調設備を完備した部屋)に設置することが多い。
メインフレームは、モデムを接続し、チェーンストアや卸・メーカーなどとのEDI、また遠隔地からの操作を行うことも可能です。
パソコンが普及し始めると、ダム端末の代わりにパソコンを使用するようになり、パソコンのエミュレータソフトを起動することにより、ダム端末と同じ操作を行うことができるようになっています。
エミュレータソフトを介して、パソコンのデータをメインフレームへアップロードしたり、メインフレームのデータをパソコンへダウンロードすることが簡単にできるようになっています。
メインフレームとパソコンは、使用するコードが異なるためメインフレームとパソコンの間でアップロード、ダウンロードする場合には、コード変換を行う必要があります。
OS(オペレーティングシステム)
メーカー独自のOS(オペレーティングシステム)で稼働します。よって使用できるソフトウェアも、メインフレーム独自で稼働します。(現在は、オープン系のOSも稼働する機種もあります)
異なるメーカーのメインフレームでは、同一のソフトウェアは稼働しません。クローズドシステムと呼ばれる所以です。
ソフトウェア
メインフレームで動作する言語は、COBOL言語やRPG言語などの高級言語とJCL(JOB Control Language)と呼ばれる制御言語になります。これらの言語を使用してメインフレームユーザ向けにオリジナル開発されたソフトウェアや、パッケージソフトウェアを使用します。
メインフレーム独自のアセンブラ言語に加えて、COBOL、FORTRAN、PL/Iが主要な開発用の言語になります。コンピュータシステムの担当者が、制御言語を使用してシステムの運用を行い、COBOL言語やRPG言語を使用してプログラム修正を行います。
画面や帳票の作成及びファイルの定義は、画面定義体、帳票定義体、ファイル定義体を作成するソフトウェアを使用することで、簡単に作成することが可能です。
画面の入出力は、当初システム負荷を抑えるため、1画面単位で行っていました。
使用するファイルは、順編成ファイルの他に索引順編成ファイルが主流であったが、リレーショナル型データベース(RDB)も使用されるようになった。(ほかにネットワーク型データベース(NDB)など)
ハードウェア
ハードウェアは、メーカーの独自仕様になります。Mシリーズ、ACOSシリーズ、SYSTEM/360シリーズ など。
チャネル
周辺機器との接続に、チャネルと呼ばれるI/O専用プロセッサを使用している。周辺機器の負荷が高い場合は、OSから切り離し、チャネルに制御を任せることで、安定したシステムのレスポンスを維持することができます。
周辺機器
紙テープリーダー(PTR)
入力データを表現するために孔をあけた紙テープを読み取る装置(カードリーダー出現の前の時代)
カードリーダー(CR)
現在では、見ることはありませんが、入力データを表現するために孔をあけたカードを読み取る装置(ダム端末出現の前の時代)
磁気テープ装置(MT)
オープンリールの磁気テープにデータを読み書きします。主としてデータの退避用と使用しますが、銀行への給与振込データなどのデータ交換用にも使用していました。
ラインプリンタ(LP)
英数字データを行単位で印字するプリンタ
日本語ラインプリンタ(NLP)
レーザーでトナーを焼き付け、日本語(漢字)を高速かつ行単位で印字するラインプリンタ
経緯
1972年、世界にコンピュータのシェアを広げつつあったIBMに対抗するために、通産省(当時)の指示により国内のメーカーが3つのグループにまとめられました。(富士通と日立製作所、東芝と日本電気、三菱電機と沖電気工業)
富士通と日立は、IBM互換機(自社機だけでなくIBM機上でもアプリケーションが動作するコンピュータ)を開発してきましたが、現在は日立が、IBM互換路線を継続し、富士通は、IBM互換路線を限定しています。
1990年代に、Windows パソコン・サーバーが出回りダウンサイジングが一般化し始めると、価格や維持費用が高額なためレガシー(遺産)と呼ばれ、各社とも売上が伸び悩むようになった。
レガシーシステムと呼ばれるシステムであるが、信頼性や安定性が高いため、現在も使用されているメインフレームシステムも多いと言われています。
現在では、製造中止のメーカーが多くなっています。
参考
オフコン(オフィスコンピュータ)一覧
システム一覧
※Windows は米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標です。