JCA手順
JCA手順は1982年、日本チェーンストア協会・通商産業省(当時)が制定したコンピュータとコンピュータのデータのやりとりを定義したデータ交換手順です。これまでのEDIで、長く使われかつ使用頻度の高い基本的な手順です。JCA手順とは何か、簡単にご説明します。(2024.05.16更新)
JCA手順とは
JCA手順は、BSC伝送制御手順(ベーシック手順)のひとつです。(BSC伝送制御手順は、ベーシック手順と呼ばれるように、コンピュータ通信の基本となる手順になります。)
BSC伝送制御手順(ベーシック手順)は、一対一の交互通信ですので、JCA手順もこれを踏襲しています。
交互通信:受信する場合は送信ができず 送信する場合は受信ができません
JCA手順は、チェーンストア(小売業)と卸売業・メーカーの間のデータの送受信、送受信のやりとり・データ内容などの仕様を決めたものです。データを受信することを集信、送信することを配信と呼びますが、チェーンストア(小売業)あるいは卸売業・メーカーにおける集信、配信ともに対応しています。
JCA手順の特徴は、下記のようになります。
仕様
JCA手順のデータの仕様は、電文の長さが128バイトあるいは256バイトで、オンライン標準データ交換フォーマットとして定義されています。コードは、汎用機・オフコン等で使用されるEBCDICコードを使用します。(漢字は、使用できません)
したがって、パソコンにてJCA手順を使う場合は、コード変換を行う必要があります。
使用する回線は、公衆回線、INS(ISDN)回線・専用線で、主な転送速度は、1200BPS/2400BPS、9600BPSです。
当初は、伝票(チェーンストア統一伝票など)納品を想定したデータのみでしたが、現在は伝票レスに対応するため、ASN(事前出荷)データも送信することが可能です。
問題点
JCA手順の制定から、時がたち環境も随分とかわってきています。そのため、問題点も目立ちます。
JCA手順は、使用回線が遅いため、転送速度が遅くかつ半二重通信(注)のため、大量のデータを送受信する場合は、数十分以上の時間を要する場合があります。そのため、早朝に自動的に受信を行っている卸売業・メーカーもあります。
注:半二重通信とは
片方が送信している間は、もう片方は受信のみで送信できない。同時に送受信できる通信方式は、全二重通信とよびます。
JCA手順の送受信データのレイアウトは、おおよそ決められていますが、送受信データの項目の設定方法等が明確かつ詳細に定義されていないため、チェーンストア(小売業)によってレイアウト・設定方法が異なっています。そのため、卸売業・メーカー側では、チェーンストア(小売業)毎に個別のデータ処理プログラムを用意する必要があります。
また、半二重同期通信方式を採用しているため、専用のモデムが必要となります。このモデムは、ほぼJCA手順専用モデムとなりますので、他のモデムと比較すると高価なものとなっています。(現在、モデム本体が販売されている製品数も限られてきています)
JCA手順にかわる手順
JCA手順にかわる手順としては、全銀TCP/IP手順 があります。しかし、JCA手順と同じ回線(公衆回線、INS(ISDN)回線)を使用しているため、問題点を100%解決できるわけではありません。
公衆回線、INS(ISDN)回線でなく、インターネット回線を使用する手順としては、流通BMS(Business Message Standards)がサポートしている ebMS/AS2手順、JX手順 があります。(これらの他にも、独自の仕様もあります)
流通BMS一覧
流通BMS導入一覧
流通BMSの手順は、インターネット回線を使用していますので、高速でデータ転送できます。(インターネット回線の速度に依存するため)
また、JCA手順と異なり、漢字も使用可能で、JCA手順専用モデムも不要です。(インターネット接続環境は必須です)
流通BMSの手順の中でも、JX手順は、JCA手順と運用方法が似ているため、JCA手順からはJX手順に移行しやすいと思われます。
⇒JCA手順・全銀TCP/IP手順と流通BMSのJX手順の比較
JX手順一覧
※流通BMSは、財団法人流通システム開発センターの登録商標です。