クラウドとオンプレミス(自社内サーバー)の違いとは
クラウドシステムという言葉が出始めてずいぶん時間が経ち、いつの間にか使用されている時代になってきました。しかし、自社内にサーバー等のハードウェアを設置して利用するシステムもまだまだあります。クラウドシステムって何?どう違うのか?クラウドとオンプレミス(自社内サーバー)の違いを簡単にご説明します。(2024年04月08日更新)
クラウドとオンプレミスとは
クラウドシステムは、言葉が表すとうり、サーバ等のハードウェアやソフトウェアを雲のように、使用者の上空に設置するような運用形態になります。つまり、サーバ等のハードウェアやソフトウェアなどの資源をコンピュータのセンターに集積し、複数ユーザーからインターネットを経てアクセスさせるものになります。
GmailなどのWEBメールなども、クラウドシステムのひとつになります。
クラウドに対して、これまでのシステムを表す言葉が、オンプレミスとして使われるようになりました。つまり、オンプレミスシステムとは、これまでと同じように自社内にサーバ等のハードウェアやソフトウェアを設置する運用形態のことになります。
クラウドシステム
オンプレミスシステムは、最大のデータ量を想定したハードウェアやソフトウェアを事前に準備する必要があります。
クラウドシステムは、ハードウェアや回線設備を自社で用意する必要がなく、必要な時に求められた量を利用することができます。また、データ量が増加した場合でも、迅速に必要なハードウェアやソフトウェアを用意することができます。
また、クラウドは、パブリッククラウドとプライベートクラウドに分けられます。
パブリッククラウド
パブリッククラウドは、サーバ・ストレージ・データベース・ソフトウェアを不特定多数(企業・個人等)がインターネット経由でを共同で使用するサービスです。
閉域ネットワークサービスを利用することにより、安全にかつ秘密保持が可能ですので、基幹システムとして利用することも可能です。ハードウェア等のカスタマイズは、利用サービス内で自由に行うことができます
プライベートクラウド
プライベートクラウドは、特定の企業等が限定的に使用するサービスになります。ハードウェアや回線設備を、専用として使用することできます。ハードウェア等のカスタマイズも、他の利用者に関係なく可能になります。専用として利用することになるため、料金はパブリッククラウドと比較すると、高価になります。
パブリッククラウドは、ハードウェアやクラウドの状態などを自社分のみを把握することは難しいですが、プライベートクラウドはこうした情報を把握・管理することが可能です。コンプライアンスやガバナンスが厳しく必要な企業等に向いています。
オンプレミスとクラウドの違い
オンプレミスとクラウド(ここでは、主としてパブリッククラウドを想定)との違いをご説明します。
オンプレミス | クラウド | |
---|---|---|
ハードウェア | サーバ等一式とパソコン等を自社で用意 |
クラウドへアクセスするパソコン等が必要 必要なハードウェアをサービスから選択 |
ソフトウェア |
自社で用意 |
自社で用意、あるいはサービスを選択 |
ネットワーク |
インターネットは、LAN環境のみであれば不要(WAN環境は必須、使用するソフトウェアによっては必須) 専用線使用の場合もあり |
クラウドへアクセスするためのインターネット環境は、必須 |
初期費用 | ハードウェア費用+ソフトウェア費用など | 原則なし(ソフトウェア設定料などが必要な場合あり) |
月額費用 |
保守費用(ハードウェア+ソフトウェアなど) |
使用料(ソフトウェア保守費用を含む) |
長時間稼働 (24時間/日) |
特になし | 費用が時間計算であるため、費用が高額になる場合あり |
処理能力不足等 |
ハードウェアの入替とソフトウェア(または、ネットワーク環境)で対処 |
選択するサービスをアップすることで対処(他社との共用サーバの場合は、遅くなるケースも) |
使用場所 | 原則として自社内LAN・WAN環境内 |
原則としてインターネット接続可能な場所 |
セキュリティ |
ハードウェア・ソフトウェア・ネットワークで対処 |
クラウド全体及び選択サービス内で対処 |
ネットワーク障害時運用 |
LAN環境のみであれば、システム使用可能(WAN環境では、使用不可) |
システム使用不可 |
ハードウェア障害対応 |
ハードウェアの二重化などで対応 |
ハードウェアの二重化されたサービスを選択 |
ハードウェア障害保守 |
ハードウェア保守にて対応 |
クラウドセンタが対応 |
災害場所対応 |
自社内ハードウェア設置場所に依存 |
クラウドセンタの場所に依存 |
ハードウェアカスタマイズ | 自由 | サービス内容により制限がある場合あり |
自社の他のシステムとの連携と運営 | おこないやすい | サービス内容により制限がある場合あり |
ハードウェア・ソフトウェアなど
オンプレミスシステムは、すべての資源・環境を自社にて揃えますが、クラウドシステムでは、使用する資源・環境をクラウド上で準備するため、クラウドへ接続する環境、つまりインターネット接続環境があれば、システムを使用することができます。但し、自社専用で使用するソフトウェアは、自社にて準備する必要があります。(クラウド上で選択可能なソフトウェアを除く)
クラウドシステムでは、使用するサーバ・ストレージ・データベース・ソフトウェア・ネットワークを提供されるサービスから選択して使用します。
費用
オンプレミスシステムは、システム開始時までに、資源や環境を準備する必要があります。よって、保守費用を除き、初期費用が必須になります。(リース・クレジットにした場合は、月額費用となります。)
クラウドシステムは、資源を使用した時間で費用計算しますので、初期費用は不要ですが、使用料(月額)が必要です。24時間稼働など長時間使用する場合は、費用が高額になる場合がありますので、注意が必要です。
処理能力不足等
当初の想定より稼働率が上がったため、処理性能が悪くなった場合、オンプレミスシステムは、ハードウェアの入替や、ソフトウェアの改善、ネットワーク環境の見直し等を行い、処理性能を改善します。
クラウドシステムでは、処理性能の良いサービスに変更することや、サービスの追加などで対処することができます。
使用場所
クラウドシステムは、インターネットが接続できる環境であれば、原則としてどこでも使用できます。
オンプレミスシステムは、システムに接続可能な自社のLAN・WAN環境に接続できる環境内となります。(但し、公開したWEBシステムであれば、インターネット接続環境があれば使用できます)
セキュリティ
オンプレミスシステムのセキュリティは、ハードウェア・ソフトウェア・ネットワーク等、システム全体で考慮し、対処する必要があります。
クラウドシステムのセキュリティは、クラウド全体で対処しているため、原則として対処はクラウドセンタ側の対処となります。
障害関係
ハードウェア・ネットワーク等の障害は、オンプレミスの場合は、自社から保守会社へ依頼します。クラウドの場合は、クラウドセンタ側の対処となります。